研究員のつれづれコラム：幸せってなんだろう？世界幸福度の秘密

統計の収集や分析の過程で、研究員が気付いたこと、気になることを書いていくコーナーです。

本サイトで、やっと2015年版の幸福度ランキングを公開することができました。2012年版(本サイト未掲載)、2013年版に続く、国連の関連機関UNSDSNによる3回目のWorld Happiness Reportの世界幸福度を元にしています。

1回目、2回目と世界一幸福な国の座をデンマークが獲得してきたわけですが、3回目はスイスが1位になりました。

日本は46位という残念な結果に。1人あたりのGDPなど客観性の高い指標では上位にランクインするアジアやイスラムの国々が、総合順位では10位以内に入らないのは何が理由なのでしょうか？

オイルマネーで潤うカタールやアラブ首長国連邦も、出稼ぎの人が押しかけるほど幸せ(お金)があふれていると思いますが…。金銭的に豊かなことが幸せではないという欧米人の感性で作成されるためでしょうか？

上位の国は社会福祉が充実している国が多いため、『個人の幸せ』より『みんなの幸せ』を重んじる傾向はありそうです。

ところで、世界幸福度を含むUNSDSNのWorld Happiness Reportの主要部分は、アメリカの調査会社・ギャラップ社が約160カ国で行っているアンケート調査「Gallup World Poll」にもとづいています。

このギャラップ社、アメリカ連邦政府への労働時間水増しによる調査料金の過大請求が内部告発により露見して、政府との契約を停止され、1,050万ドル(約10億円)の賠償を命じられたりしています。米司法省の文書(英語)によると、ギャラップ社は2013年、支払いに同意しました。

本当にお金がなくても幸せと感じられる素晴らしい会社なら、多分こんなことしない気がしますけど…。『社員みんなの幸せ』を重んじた結果でしょうか。

調査会社は信用が非常に重要だと思いますが、ギャラップ社の不正やミスであれば、世界幸福度の調査結果にも疑問符が付きかねません。それとも、アメリカ政府に不利な結果でも公表した報復とかでしょうか？(ギャラップ社、大統領選キャンペーン中の世論調査でオバマの支持率を〝誤って”低く評価 - ワシントンポスト紙(英語))

日本では幸せの国として、国民総幸福量(GNH)を追求する国ブータンが有名ですが、その幸せはブータン政府により作られた虚像であることは、本サイトをご覧の皆さんならご存知のことと思います(知らない人はとりあえず『ブータン難民』や『ブータン幸福度アンケート方法』で検索してみよう)。

どちらにせよ、統計を十分に理解する場合には、どういう組織が、どういう目的で、どんな方法を使って調査を行ったのか、気に留めることも重要かと思います。

幸福度 TOP10
順位	国または地域	幸福度		偏差値	評価
すべての順位を見る
1	スイス	7.587		69.4	A
2	アイスランド	7.561		69.1	A
3	デンマーク	7.527		68.8	A
4	ノルウェー	7.522		68.8	A
5	カナダ	7.427		68.0	A
6	フィンランド	7.406		67.8	A
7	オランダ	7.378		67.5	A
8	スウェーデン	7.364		67.4	A
9	ニュージーランド	7.286		66.7	A
10	オーストラリア	7.284		66.7	A

幸福度 TOP10
順位	国または地域	幸福度		偏差値	評価
すべての順位を見る
1	デンマーク	7.693		70.7	S
2	ノルウェー	7.655		70.4	S
3	スイス	7.650		70.3	S
4	オランダ	7.512		69.1	A
5	スウェーデン	7.480		68.8	A
6	カナダ	7.477		68.7	A
7	フィンランド	7.389		67.9	A
8	オーストリア	7.369		67.8	A
9	アイスランド	7.355		67.6	A
10	オーストラリア	7.350		67.6	A

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